労働審判の利用状況
パワハラ問題がメディアでもクローズアップされる機会が多くなった昨今。
職場での紛争解決のために平成13年に法律施行された
「個別労働紛争解決制度」の利用状況は、施行以来増加の一途をたどり
平成23年時点のデータでは256,343 件で過去最高を記録!
相談の内容としては、「いじめ・嫌がらせ」といった
いわゆる“パワハラ”を含むものが大幅に増加しているのです。
同じく、全国の労働審判事件の新規受注件数も
図のように増加傾向を示しています。
(最高裁判所行政局の調査データ)
平成25年現在、
最新データが公式HPにアップされていないのが気になりますが…
平成18年(4月〜3月): 1,163件
平成19年(4月〜3月): 1,563件
平成20年(4月〜3月): 2,417件
平成21年(4月〜3月): 3,468件
この2つのデータから言えることは、
・労働問題はもともと増加傾向だった
・労働審判制度ができてからは、件数が激増している
…ということ。
「労働審判」という言葉自体は、
まだまだ聞き慣れない制度名のように思われますが、
利用する人は確実に増えているということですよね。
解決率の推移は?
それだけ利用者が増えているということは、
結果についても、ある程度満足のいく形で結論が出ていると考えられますよね?
実際のところ、労働審判は、その解決率の高さでも高く評価されています。
最大で3回まで審理を開くことができるにも関わらず、
第2回期日までに終了した事件は、全体の約6割(平成21年度調査のデータです)
平均審理期間は申立てから74.6日。
さらに、全体の約36.1%は、
申立てからなんと2か月以内というスピードで解決しているんです◎
(ちなみに、3カ月以内での解決は全体の約72.8%)
加えて、気になる審理の結果についてですが…
・調停成立:68.8%。
・審判が出された:18.9%
つまり、ほとんどが、当初の目論み通り“和解”で終了しているわけです。
裁判を起こしても勝てる保証はどこにもありませんので、
それなら「費用も安く」「所要時間も短く」「解決率も高い」
労働審判が便利ですよね!
労働審判で解決するまでの所要時間
労働審判は、基本的には月1回の“審理”が最大3回まで開催され、
実質、3カ月で問題が解決することになっています。
裁判所の調査データによれば、
制度開始から約3年半経過時の運用状況としては
「審理に要した期間は平均で約2か月半」
当初の狙い通り、調停(=和解)が成立して終了するケースが多く、
全体の約8割の紛争が労働審判の申立てをきっかけとして解決しています。
もともと、不利な立場に置かれがちな労働者のために導入された制度ですから、
このデータから見れば、制度の目的自体は達成されていると言えるでしょう。
利用者が年々増加していることを鑑みれば、
労働者の立場から見てこの制度が、非常に“使える”ものだと
肯定的に評価されているとみなして良いのではないでしょうか。
様々な業種、職種でのパワハラ問題が明るみになる中、
今後も労働審判の利用者は増え続けていくものを推測できます。