パワハラ110番

STEP1 裁判所に訴状を提出する

パワハラで裁判を起こす場合、民法をベースとする「民事裁判」と
刑法に基づく「刑事裁判」の2通りが考えられます。
前者は、人間関係のトラブルを扱うのに対して、
後者は、刑法に触れる行為を伴うケース(例えば暴力)を扱います。

 

パワハラ裁判の場合は民事裁判となるケースが多いため、
ここでは民事裁判に限定してその流れをご紹介しましょう。

 

裁判の流れや仕組みについては、
小学校や中学校でも軽く触れられているのですが、
「そんなのはとっくに忘れてしまった」という方が多いのではないでしょうか?

 

パワハラ裁判は、まず、原告側(パワハラの被害者)が
「訴状」と呼ばれる書類を裁判所に提出することからスタートします。
これは、簡単に言うと、「その人が裁判に何を求めるのか」を分かりやすく記載したもの。
具体的には、次のような内容を記載することになっています。

 

・原告と、訴えられる側である被告の住所・氏名
・原告がどのような審判を求めているのか、その請求内容の趣旨
・上記請求の原因(理由)

STEP2 裁判所に答弁書を提出する(被告)

パワハラ被害者である"原告"から提出された訴状が裁判所に受理されると、
訴えられる側)="被告"=パワハラをした人(もしくは会社)の元に、
第一回の口頭弁論への呼び出し状が送付されます。

 

その際、「答弁書」と呼ばれる書類が同封されてきます。
これは、簡単に言うと「原告側の請求に対する反論」を記入するもの。
もし無視して放ったらかしにしておくと、
「原告側の主張内容を認めたもの」と判断されます。
(パワハラ被害者にとってはそのほうがラッキーかもしれませんが…)

STEP3 口頭弁論

パワハラ被害者の"言い分"と、
それに対する加害者側の"反論"が揃ったわけですから、話し合いの準備は整いました。
いよいよ、口頭弁論のはじまり…という流れになります。

 

1回数分の口頭弁論を何度か繰り返し、
お互いの主張の矛盾点などをあぶり出していきます。
事前に「準備書面」を提出することになっていますので、
「当日何を争点にするか?」は、実はあらかじめ決まっています。
ですから、無駄に長引いたりはしないんですね^^

STEP4 証拠調べ

何事も、論より証拠!
裁判ともなれば、なおさらです。
STEP3の流れで裁判の争点が整理されたら、
次の流れとしては、双方の言い分を照明する証拠を確認しなければなりません。

 

証拠には、人が証拠の場合の「人証」と、物が証拠の場合の「物証」があります。
原告・被告の双方から証拠を提出し、その中から
裁判官が「必要だ」と判断したものについて法廷で調べる…という流れになります。

STEP5 判決

裁判の一連の流れを締めくくるもの。
言わずもがな、「判決」ですよね。

 

裁判全体の流れを通じて、裁判官が原告・被告本人、
そして証拠や証人から受けた印象などをもとに、いよいよ判決が下されます。

 

「被告に、原告に対して○○万円の支払を命ずる」という場合は原告の勝訴。
「原告の請求を棄却する」と言われば原告が敗訴したことになります。

 

これで裁判の一通りの流れは終了となりますが、
下された判決(=結論)に不服なこともあるでしょう。

 

その場合には、「三審制度」を利用して高等裁判所に控訴することができます。
(それでも納得できない場合は、最高裁判所に上告)