パワハラ110番

パワハラは努力では解決できない

パワハラに打ち勝つためには、考え方自体を大きく変える必要があるかもしれません。

 

まず、一生懸命に耐えたところで状況は改善しないということです。
私たち日本人は、ともすれば
「我慢すればいつか状況は変わる」
「努力は報われる」
…などと考えがちですが、それはとんでもない楽観主義。
汗水たらして頑張ったからといって、
必ずしも努力が報われるわけではありません。

 

パワハラの問題は、いじめと同じ。
被害者が精神論で頑張ったところで、相手の気持ちは変えられません。
「気に入らない」と目をつけられてしまえば、
パワハラ被害を避けることはできないでしょう。

 

「努力すること」「耐えること」「立ち向かうこと」は、
パワハラへの正しい戦略とは言えません。
「どうすれば自分がターゲットにならずに済むのか」
…ここに主眼を置いて戦略を練ってみませんか?

攻撃できないようにする、という"戦略"

中国最高の兵法書である『孫子』には、
「戦わずして勝つのが最善」という考え方があります。
つまり、頭を使って利口に勝つのが一番ってことですよね(笑)。

 

パワハラへの対処法にも、この考え方が生きています。
相手は、イイ歳をして人をいじめているような人間なのですから、
まともに相手をするのはバカバカしい。
いかにしてかわすか、相手をせずに済むか。
パワハラのターゲットにならずに済む方法を探るのが得策です。

 

具体的にどうすれば良いのか?
一番確実なのは、仕事がデキる人になることです。

 

もちろん、口で言うほど簡単ではないということは良く分かっています。
しかし、仕事がデキる人はパワハラのターゲットにはなりにくいですし、
ターゲットになったとしても、退職に追い込まれる可能性は少ないでしょう。
さらに言うなら、出世してその上司よりも上の立場になってしまえば良いです(笑)。
パワハラは"立場"を利用したいじめですから、
そうなればもうパワハラ被害に遭うこともなくなりますよね。

 

そもそも、「人をいじめたい」という人の心理の背景には、
「人を下に見ることで自分の優位性を確認したい」
「自分に自信がないから、誰かをいじめることで自尊心を保ちたい」
…という気持ちがあります。
ですから、仕事がデキる人よりは、できない人、
目立たない人、自己主張ができなさそうな人が狙われやすいというわけ。

 

「仕事ができれば、"やっかみ"から嫌がらせに遭うのでは?」
…という指摘もあるかもしれませんね。
確かに、やっかみや嫌がらせには遭うかもしれませんが、
本当に仕事がデキる人って、そんなことには負けません(笑)。
会社にとっては、パワハラ上司よりも
仕事がデキる部下のほうに価値があるわけですから、
「人事や役員に被害を申し出ればゼッタイに自分が勝てる」という自信もあります。
会社の上層部だって、よほどバカな役員でない限り、
本当に会社に有益な人物を見分ける力はありますよ。

 

仕事がデキる人になれば、周りに一目置かれるようになるだけではなく、
自分に自信がつきます。
自信が持てるようになれば、自ずと言動にも余裕が出てきますので、
パワハラ上司がいじめる"隙"もなくなるもの。
その上、出世してしまえば、もうこっちのものです。

 

パワハラのターゲットになりたくない、現状をなんとかしたいと思うのであれば、
仕事を完璧にこなせる人間になるのが一番の近道なのです。

"己"を知ろう

パワハラ上司に、自分をいじめる"隙"を与えないためには、
まずは自分=己についてよく知っておく必要があります。

 

「なぜ自分だけがターゲットにされるのか」

 

人は、自分が思っている以上に"己"のことを知らないものです。
自分では快活で好感度の高い人物だと思っているかもしれませんが、
周りから見れば、暗くて話しかけづらい人物かもしれません。

 

パワハラに関しても、上司の指示をよく聞いているつもりでいるのは自分だけで
相手からみれば「人の話を聞けない部下」と思われている可能性も…!

 

パワハラ被害に遭うと、とかく被害者意識に苛まれてネガティブになりやすくなりますが、
「自分のこういう部分がパワハラのターゲットになる原因ではないか」と、
己の問題点に気付くことも大切です。

 

客観的な目で自分を眺めることができれば、
「ああ、だから自分は上司に嫌われてしまうんだな」
…と、パワハラの新たな一面が見えてくるかもしれません。

 

その次は、柔軟に自分を変えていくことです。
意識的に声を大きくハキハキ話すように心がけたり、
報告の仕方を変えてみたり
(例:項目ごとに要点を整理してわかりやすく、グラフや表を挿入、
パッと見てすぐに分かるように図示…等)
背筋を伸ばして歩くようにしたり、
上司受けしそうなファッションに変えてみたり。
(例:"色"の勉強をして、相手や場面に合わせた色遣いを試してみる。
髪型をスッキリさせる、スーツのトレンドをチェックする…等)

 

己を知って、前向きに自分を変えられる柔軟性を身につけることも
パワハラ撃退の戦略の一つです。