パワハラ110番

“休職”とは?

パワハラ,休職

パワハラによる人間関係上のトラブルが問題されている昨今。
「○○さんは休職しているらしい」って噂、
あなたの会社でも耳にする機会が増えていませんか?

 

休職とは、何らかの理由により就業が不可能になったときに、
会社に在籍したまま長期間の労働義務が免除されること。
要するに、雇用関係を維持したまま長期のお休みをもらうことです。
(※会社の就業規則に「休職」の項目がない場合は、
休職が認められない可能性もあります。
会社によって制度が異なりますので、人事部などに確認してみましょう)

 

会社休職は、大きく以下の5つに分類されます。

 

●会社の業務上ではない事故や怪我、病気などで休む「私傷病休職」
 or「事故欠勤休職」

 

●海外留学などの「自己都合休職」

 

●刑事事件により起訴された場合の「起訴休職」

 

●労働者が不正を働いた場合の「懲戒休職」

 

●他社に出向している間の「出向休職」


休職と休業の違いは?

あなたは疑問を感じているのではないでしょうか?
「パワハラが原因でうつ病になった場合の休職はどれに当てはまるんだろう?」と…。

 

残念ながら、多くの場合「私傷病休職」に分類され、
あくまでも個人の都合で休んでいるという扱いになってしまうのです。

 

ちなみに、休職に関する制度は会社によって異なりますが、
期間は勤続年数等で差異を設けるのが一般的。
私傷病休職の場合は、数ヶ月〜数年が多いようです。

 

また、休職期間満了時、まだ復帰できる状態でない場合には
労働契約を終了される場合もあります。

 

ただし、「パワハラが原因」と認められて労災認定が下されれば
「休業」扱いとなり、色々と事情は変わってきます。
休職中は給料の支給を受けられませんが、休業の場合は
「使用者の責に帰すべき事由により休業する場合は
休業期間中は平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならない」
という労基法第26条が適用されることになります。

休職中の給料はどうなる?

パワハラが原因で休職する場合、その間のお給料はどうなるのでしょうか?
そこが一番、不安ですよね。

 

パワハラで精神的に追い詰められて休職した場合でも、
扱いはあくまでも労働者の“自己都合”
従って、本来、「休職中は無給」と考えるのが普通です。

 

パワハラで精神的にボロボロな上、
収入まで断たれてしまうとなっては、心のケアもままならないでしょう。

 

しかし、全くお金が入ってこないわけではありません。
「傷病手当金の支給」というありがたい制度があるのです。

 

「疾病手当」とは、病気休業中に被保険者と
その家族の生活を保障するために設けられた制度。
会社からではなく、健康保険からもらえるお金です。

 

実際に支給されるのは、4日目〜復職の前日までの間。
傷病手当金申請書を毎月一回提出します。
給付額は「標準報酬日額×0.6×1ヵ月の日数(土日祝日を含む)」で、
1ヶ月ごとにまとめて振り込まれます。
まあ、月給の6割といったところでしょうか。

 

疾病手当は1年6カ月で切れてしまいますが、
延長傷病手当附加金として継続して給付を受けることも可能です。
※加入2ヶ月未満の場合、継続受給はできません!

休職を決意した!具体的な手続きは?

パワハラで心のエネルギーを失い、
「とにかく休みたい」と休職を決意した場合、
具体的にはどんな手続きを行えば良いのでしょうか?

 

パワハラによる心の衰弱から意識が散漫になっている可能性もありますが、
必要な手続きはしっかり行いましょう。
もらえる手当ももらえなくなってしまいますので!

 

@まずは、職場の上司に相談しましょう
変にごまかしたりせず、医師からの診断内容や
自分の気持ちをハッキリと伝えます。
※会社にパワハラに関する規定がある場合は、
この時点で何らかの対策をとってもらえる可能性もあります。
もちろん労災認定してもらえる場合もありますので、
気を使ったり遠慮したりするとかえって損です。

 

 

A次は、書類の提出です
 次のものを用意し、人事担当者に提出しましょう。

 

◆休職願(会社の様式に従う。無い場合もある)
◆医師の診断書(会社から請求があった場合)
◆健康保険傷病手当金請求書
(加入している健康保険のHPからダウンロードできる場合もありますし、
 相談すれば会社側が用意してくれます)

 

 

B書類の提出⇒健保組合へ
会社側は、記入済みの「健康保険傷病手当金請求書」に
必要添付書類(賃金台帳、出勤簿又はタイムカードの写し)を添えて
健康保険組合に提出します。

 

 

C通知
支給が決定した場合は、本人に「支給決定通知書、振込金額」が通知されます。
不支給決定の場合は、「不支給決定通知書」が送付されます。

 

 

D振り込み確認
3〜5週間以内に傷病手当金は指定の銀行口座に振込まれます。
最大1年6ヶ月間まで、1ヵ月ごとに疾病手当金が支給される仕組みです。

 

E話し合い
会社が定めた休職期間満了時に、双方で話し合いを行い、
その後について決定します。

 

※心の病の回復には時間がかかります。
「これ以上周りに迷惑はかけられない」と焦る気持ちはよくわかりますが、
無理して復帰しても、また調子を崩してしまうかもしれません。
主治医とよく話し合って先のことを決めることをオススメします。